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       都竹研究室 Tsuzuku Laboratory

研究紹介report

当研究室では、地上デジタル放送JJY(電波時計)の2つのグループに分かれて研究を行っています。

地上デジタル放送波の周波数の精密測定

地上デジタル放送では、複数の中継局が同じ周波数で同じ内容を放送するSFNが行われています。そのため、従来の周波数測定法では各中継局の放送波周波数を測定することはできませんでした。そこで当研究室では、複素遅延プロファイルを用いて放送波を分離するとともに、位相回転から中継局間の周波数偏差を測定する手法を提案し、高い精度で周波数を測定できることを確認しています。


地上デジタル放送波の到来方向推定

地上デジタル放送はOFDM伝送方式を採用しており、マルチパス環境でも安定して受信することができます。しかし、高層ビルが多い都市部などの強いマルチパス環境や放送エリアが重なっているSFN環境では受信障害が起こってしまいます。そこで、複素遅延プロファイルと逆畳み込み演算を用いて受信障害の原因となる妨害波を特定する手法の研究を行っています。


地上デジタル放送波による気象予測

近年、局地的大雨による被害が増加してきています。そこで被害を最小限にとどめるために早期の予測が必要となります。そのためには現在降っている雨量だけではなく、雨のもとになる水蒸気量の測定が重要となります。しかし、現状の気象予報では予測精度に大きな問題があります。そこで当研究室では、地上デジタル放送波を用いた水蒸気量の測定法を検討しています。電波は大気中の水蒸気量が多い場合、届くのがわずかに遅れる性質があります。この性質を利用し、地上デジタル放送波の遅延時間から水蒸気量を推定し、ゲリラ豪雨を予測する手法を検討しています。


地上デジタル放送波による時刻・周波数の分配

現在、正確な周波数と時刻を得る手段として標準電波JJYとGPSが用いられていますが、同様に地上デジタル放送波も正確な周波数の電波の一つです。そこで、地上デジタル放送波を利用して高精度な周波数・時刻分配方法について研究を行っています。


風力発電用風車がデジタル放送に与える影響

東日本大震災後、再生可能エネルギーによる発電が注目されています。その内の一つとして風力発電があげられますが、一部地域では地上デジタル放送の視聴に影響があるとして風力発電設備を停止したという例があります。そこで風力発電設備が地上デジタル放送波へどのような影響を与えるかについて研究を行っています。


地上デジタル放送受信機の高性能化

地上デジタル放送では、誤り訂正を行っているため、信号品質が低下しても画質を維持することができます。しかし、誤り訂正にも限界があり、信号品質が低下し過ぎると視聴ができなくなります。そこで、当研究室では誤り訂正の一つであるビタビ復号のアルゴリズムを改良することで受信性能を改善し、雑音に強い受信機の開発を行っています。


標準電波JJYの伝搬特性に関する研究

標準電波JJYは電波時計に利用されており、佐賀県と福岡県の県境に位置するはがね山と福島県のおおたかどや山の2つの場所からそれぞれ送信されています。しかし、名古屋市では、九州局と福島局の両送信所から距離が遠く、電波が弱い為、屋内や地下では標準電波を正しく受信できない場合があります。そこで三軸ループアンテナを用いてJJYの長期測定を行い、電波の伝搬特性について研究を行っています。


標準電波JJYを用いた地震予知

近年、地震予知に有望とされる地震に伴った電磁気現象が数多く報告されていますが、前兆現象として電離層の擾乱による現象も観測されています。当研究室でも東日本大震災の2日前から測定していたJJYのデータには、普段安定しているはずの昼間の電波の強さが激しく変動していることが確認できています。そこで上記の伝搬特性に関する研究と同様に三軸ループアンテナを用いてJJYの長期測定を行い、地震との関連性について研究を行っています。


長波帯の雑音測定および高性能電波時計の開発

電波時計に利用されている標準電波JJYは屋内では電波が正しく受信できない場合があります。その原因として、電波の減衰だけでなく、電子機器からの雑音の影響が考えられます。そこで屋内における電波の減衰と長波帯の雑音を測定することでJJYにどのような影響があるのかを確認するとともに、電波時計の新たな受信アルゴリズムを考案し、雑音に強い高性能な電波時計の開発を行っています。


「地上デジタル放送波による気象予測」、「地上デジタル放送波による時刻・周波数の分配」は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)との共同研究である。